相談しようと思っていたのに、いざ「最近どうですか」と聞かれると、何から話せばいいのか分からなくなる。
その場では「ちょっと疲れています」と答えて、帰り道で「あれも伝えたかった」と思い出す。そんなときに使えるのが、受診前に作る短い相談メモです。
全部を説明する文章は必要ありません。いま困っていることを一つ、いつもとの違いを一つ。話すための手がかりを、先に残しておきます。
どうも。プロの引きこもり、まつながです。
ぼくはASD・双極Ⅱ型と付き合いながら、働き方や生活の負担を減らす仕組みを考えてきました。今回は、相談するときの負担を減らすための整理方法をまとめます。初めて受診する人にも、通院中の人にも使える形です。
「つらい」を、生活の中の具体的な場面に置き換える
「しんどい」「不安」「何もできない」。そう感じているなら、その言葉のまま伝えて構いません。
そこに一つだけ、生活で起きていることを足してみます。
| 最初に浮かんだ言葉 | 付け足せる具体例 |
|---|---|
| 疲れています | 朝、起きても身支度まで進めず、仕事に遅れる日が増えました |
| 集中できません | 仕事のメールを何度読んでも内容が頭に入りません |
| 不安です | 夜になると翌日の仕事を考え続けて、眠りにつけません |
これは説明の例です。同じ状態になる必要も、この表に自分を当てはめる必要もありません。
厚生労働省の家族・教職員向けサイトにある「受診にあたって」でも、困っていることやつらいことを事前に整理し、心の状態だけでなく体の症状、睡眠、食欲も伝える要素として案内しています。
「自分は何の病気なのか」を先に決めなくても、相談の材料は集められます。まずは、いつもの生活から何が変わったかを残してみてください。
相談メモに残すのは、まず4項目
ここでは、話す順番をつくるために4つに分けます。医療機関の標準様式ではなく、この記事で提案する整理方法です。
1. いま一番困っていること
困りごとがいくつもあっても、最初に伝えたいものを一つ選びます。
「眠れない」「食事を用意できない」「仕事へ行くのが難しい」など。選べなければ、「いろいろ重なっていて、何から話すか分からない」と書いても大丈夫です。
2. いつ頃から、どう変わったか
始まった時期と、その後の変化を分かる範囲で書きます。
「先週頃から」「前回の受診後から」「日によって違う」でも構いません。正確な日付が分からないところは、分からないまま残します。
3. 生活や仕事で難しくなったこと
睡眠、食事、身支度、外出、仕事など、実際に困っている場面を一つ足します。
まだ続けられていることと、難しくなったことを両方書いてもよいでしょう。「仕事には行けているけれど、帰宅すると食事の準備ができない」といった違いも材料になります。
4. 今日聞きたいこと
「この変化をどう考えればよいか」「次の予約までに悪化したら、どこへ連絡するか」など、相談したいことを残します。
答えが分からないから相談するわけなので、質問も立派でなくていいんです。
医療機関から事前問診や持参物の案内がある場合は、それに沿って準備してください。飲んでいる薬やその変更など、伝えておきたい情報は、この4項目とは別に追加できます。
記録は「正確な点数」より、具体例を一つ
記録を始めると、毎日の睡眠時間、気分の点数、食事、仕事の進み具合……と、項目を増やしたくなることがあります。
ただ、相談の準備だけでHPを使い切ると、その先へ進みにくい。メモ帳が新しい上司になるのは、ちょっと困ります。
主治医などから記録の指示がある場合は、それを優先します。そのうえで、自分用のメモは続けられる量にしておきましょう。
たとえば、「10月1日。メールを読むのがつらく、返信を翌日へ回した」。一つの出来事だけでも、あとから話す手がかりになります。
原因が気になるときは、起きたことと推測を分けます。
- 起きたこと:仕事が増えた週から、寝つきが悪い日が続いている。
- 自分の推測:仕事の負担が関係しているかもしれない。
「原因はこれだ」と確定しなくても、両方を相談できます。記録できなかった日があっても、記憶にある範囲から再開して構いません。
話せないときは、メモを見せるところから始める
メモを書けても、当日にそのとおり話せるとは限りません。そんなときは、最初にこう伝える方法があります。
うまく話せないので、このメモを見ながら相談してもいいですか。
紙でもスマホでも、自分が取り出しやすい形を選びます。スマホなら、探す手間を減らすためにメモを開いておくのも一案です。
全部を順番に読み上げる必要はありません。最初に「今日は、眠れないことを一番相談したいです」と伝えて、あとは相手の質問に合わせて話すこともできます。
受診時には話せなかったことも、「聞きたいこと」の欄へ残しておきます。後から医療機関へ連絡するか、次の受診で相談するかは、内容と医療機関の案内に応じて確認してください。
急いで相談する必要があることを、次の予約まで我慢するためのメモにはしないでください。
医療機関と職場には、伝える内容を分ける
受診用に書いたメモを、そのまま仕事先へ送る必要はありません。相談する目的に合わせて、伝える情報を選びます。
| 相談する相手 | 整理する内容の例 |
|---|---|
| 医療機関 | 症状や経過、生活への影響、薬の情報、治療について聞きたいこと |
| 上司・仕事先 | 難しくなっている業務、相談したい調整、次に状況を連絡する時期 |
| 人事・産業保健の窓口 | 使える社内の相談先、手続き、必要書類や情報の共有範囲 |
職場への文面なら、たとえば次のように整理できます。
体調不良で集中が続かず、本日締め切りの資料作成が難しい状態です。締め切りの変更か、担当の調整について相談できますか。明日の午前中に、あらためて対応の見通しをご連絡します。
これは文面の例で、希望する調整が認められることを保証するものではありません。必要な説明や書類は、勤務先のルールや相談内容によって変わります。
病名や詳しい経過を誰にどこまで伝えるか迷う場合は、人事や産業保健の窓口に、情報が誰へ共有されるかも含めて確認できます。
仕事の連絡文を用意する余裕も少ない日は、最低限だけで終える「低電力モード」の作り方にある短い連絡例も使えます。
コピーして使える「相談メモ」テンプレート
スマホのメモへ貼り付けて、書けるところだけ残してください。
相談する日:
1. いま一番困っていること
2. いつ頃から、どう変わったか
3. 生活や仕事で難しくなったこと
4. 今日聞きたいこと
ほかに伝えておきたいこと:
(薬の情報、前回の相談後の変化など)
記入例は、こんな量でも使えます。以下は説明のための架空の例です。
1. いま一番困っていること
夜、寝つくまでに時間がかかる。
2. いつ頃から、どう変わったか
先週頃から。以前より寝つきが悪い日が増えた。
3. 生活や仕事で難しくなったこと
朝の身支度が遅れ、仕事に遅刻した日があった。
4. 今日聞きたいこと
今の状態について相談したい。
次の受診までに悪化した場合の連絡先も確認したい。
メモは自分のための道具なので、毎回同じ形式にそろえる必要もありません。受診のたびに新しい文章を書くのが負担なら、前回のメモへ「その後の変化」だけ足す方法もあります。
今日の一行は「いま、一番困っていること」
ここまで読んでも、4項目を全部埋めなくて大丈夫です。
今日やるなら、スマホのメモを開いて、「いま、一番困っていること」を一行だけ書いてみます。書くのが難しければ、「うまく説明できない」と残しても構いません。
働く人やその家族などは、「こころの耳電話相談」でメンタルヘルスの悩みを相談できます。診断や治療方法の提示を行う窓口ではないため、相談できる内容や受付時間は公式ページで確認してください。
自分を傷つけそう、今すぐ安全を保てないといった場合は、メモの完成を待たず、身近な人や医療機関、緊急時は119へ連絡してください。電話やSNSの相談先は、厚生労働省の「まもろうよ こころ」でも探せます。
日々の準備そのものが負担なら、セルフケアの手間を減らす5つの工夫へ。お金の不安で休むことをためらう場合は、働けない期間に備える生活防衛の設計図も参考になります。
相談メモは、しんどさを証明する作文ではありません。
言葉が出にくい日に、昨日の自分が今日の自分へ渡しておく手がかりです。一行から、誰かと一緒に整理するところへ進めます。
ほかの困りごとから記事を選びたいときは、メンタルヘルスの読むガイドへ。生活の手間、調子が悪い日の予定、相談の準備、仕事の調整から選べます。
参考情報:厚生労働省「受診にあたって」、働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳電話相談」、厚生労働省「まもろうよ こころ」。リンク先確認日:2026年10月1日。
サムネイル写真:Tatiana Syrikova / Pexels(Pexels License)。記事テーマに合わせたイメージ写真であり、本人の使用環境や体験を撮影したものではありません。
